札差 探求への入口

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探求 江戸の札差(東京都台東区蔵前)

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左図は東京都台東区の略図です。東西に延びる蔵前橋通りと南北に渡る江戸通りが交差するあたりが蔵前で、江戸時代に札差が活躍する舞台となった場所です。
東隣の墨田区との境に隅田川があります。川べりに幕府の米蔵が連なっていたことから蔵前または御蔵前(おくらまえ)と呼ばれ、ここで旗本・御家人に代わって米の受け取りの代行をしていたのが札差でした。
以下AB2つのテーマについて取り上げます。
 

 
A. 札差とは何ぞや
 1 札差とは‥‥
 2 札旦那としての旗本・御家人
 3 札差株仲間
 4 蔵前における米と金の動き
 5 札差金融業
 6 札差と札旦那(終わりに)
 
B. 記録映画の舞台裏
 1 記録映画作りと情報収集
 2 泉屋(丹羽家)の墓所発見
 3 「松尾」はどこに?
 4 丹羽桃丸の足跡を追って

江戸(御蔵前)の札差を探求していきます!!

  • 台東区に蔵前あり、その蔵前に札差あり、
  • ゆえに、台東区に札差の具体像が見られないはずはない。
  • そんな発想で始まった札差取材にようやく光が射してきました。
  • そしてまた難題が持ち上がります‥‥。
  • 札差取材の大詰めは次のような過程で進みました。

取材の成果とその過程

  • LinkIcon一橋大学で札差の菩提寺名を記した史料を発見。(参考LinkIcon「札差関係文書 (江戸時代古文書)」
  • 台東区根岸の円光寺にて札差泉屋(丹羽家)の墓を発見。
  • 住友史料館(京都)等へ問い合わせ、鉱山業を本業とする大坂の住友(泉屋)が江戸の札差業に進出し、その支配人になったのが初代丹羽(泉屋)茂右衛門であることが判明(茂右衛門は後に札差となる)。
  • 初代泉屋茂右衛門の弟 丹羽桃丸の墓碑(円光寺)に刻まれた「桃丸姓丹羽近江松尾人」と「好国学所著蜻蛉道草五十巻上木既刊」という言葉に注目する。
  • 『国書総目録』(岩波書店)によって、「蜻蛉道草」が多田南嶺著で丹羽桃丸編集の「蜻蛉の道艸」(あきつのみちくさ)であること、桃丸の著書「雑々集」が東北大学の所蔵になるという事実を得る。
  • 国立公文書館にて「蜻蛉の道艸」を閲覧。
  • 東北大学附属図書館狩野文庫にて「雑々集」を閲覧し丹羽桃丸の著書であることを確認。
  • 墓碑の「近江松尾人」に注目し、桃丸の出身地(丹羽家の所在地)と目される近江の「松尾」について調査。
  • 近江松尾が滋賀県甲賀郡土山町松尾(旧松(野)尾村)であることが判明。
  • 土山町にて、丹羽家の菩提寺が同町前野の地安寺であることを突き止め、そこで桃丸の墓石を発見。
  • 土山町にて「蜻蛉の道艸」に描かれた挿絵「松の尾川」の現在地が判明。

● 問い合わせ先
記録映画「札差 ~御蔵前泉屋~」及び報告書「蔵前に札差あり ~江戸の金貸からたどる文化史~」については、LinkIcon台東区教育委員会 文化事業スポーツ課(TEL 03-5246-5852 直通)、
または製作会社スタックス(伊藤 stacks.v(アットマーク)mac.com)までお問い合わせください。

● ビデオ上映
ビデオは江戸東京博物館の(地下1階)でも視聴が可能です。ただし事前にご確認ください。
※ 同ページにある「作品リスト」で「上映プログラムリスト」のページへ移動。さらにその中の「歴史」を選択すると、作品番号217に本作品名が見つかると思います。(09.01.11調べ)

 ● いきさつ

  • 平成6年(1994)の春から2年間、文化財記録映画「札差 ~御蔵前泉屋~」(16mmフィルム製作・平成8年完成)の脚本・演出・撮影を担当しました。
  • 各地へ取材しながら新たな資料を探索し、担当学芸員とともに解釈しながら撮影にかかります。
  • 後にそうした成果をまとめたのが報告書『蔵前に札差あり ~江戸の金貸からたどる文化史~』(台東区文化財調査報告書第24集 平成11年発行)でした。
  • 本コーナーは、その報告書に収められた私の文章を一部修正のうえ再録するするものです。